2010年1月8日金曜日

反捕鯨NGO シー・シェパード/アディ・ギル号の激突

反捕鯨の運動にも参入しているグリーンピースやシーシェパードといったNGOの活動船と日本やノルウェーなどの捕鯨船とのトラブルがずっと続いています。

特に先日、シーシェパードの暴力的な示威活動による問題で、日本の捕鯨船との衝突事故は世界的にもセンセーショナルに報道されています。この機会に、ちょっと構図をまとめてみました。
基本的には以下のような構図で理解されているのが一般的です(ウィキペディア要約)。

国際捕鯨委員会(加盟国82カ国)の内、捕鯨推進国は34カ国、現在では主に食糧として捕鯨をしている国々には、ロシア、日本、ノルウェー、アイスランド、フェロー諸島など。

また、捕鯨国でありながらアメリカ合衆国は捕鯨に反対している。一方で捕鯨国のカナダは、国際捕鯨委員会を脱退している。
捕鯨反対国は、食用のための捕鯨が廃れて灯火燃料や機械油用の鯨油目的の捕鯨に移行していた元捕鯨国、一切の捕鯨の経験を有さないEU加盟諸国、ラテンアメリカ諸国、オーストラリア及びニュージーランド、インド等が中心となっており、これに与するNGOも多い。

しかし、現実の構図はこの一般的理解よりもはるかに複雑であり、問題を単純化、一般化するのは必ずしも容易ではない。

何故ならノルウェー、日本のような近代の捕鯨大国は、常に鯨肉と併せて鯨油も重要な生産物としてきたし、日本といえども大戦前のある時期には鯨油だけを目的として南極で大規模な捕鯨活動を展開していた。

反捕鯨の意見を表明する個人や団体にも、捕鯨全体を否定する立場のものだけでなく、少数民族、原住民の伝統捕鯨は可とするもの、大資本の企業による遠洋の商業主義的な捕鯨には反対だが小規模資本の沿岸捕鯨なら可とするもの、生態系の保護を議論の中心に掲げるものから動物愛護運動として活動するものなど、相互に異質なさまざまな立ち位置が存在する。

また、この問題は一時期、欧米諸国の自然保護団体を始め、彼らに同調した自動車産業団体や、農産物生産者等によって利用され、日本人に対しての人種偏見や反日運動ジャパンバッシングなどの一つとして、過激な運動やパフォーマンスも行われた。
日本においては、捕鯨に賛成する人が多数であるが、捕鯨自体に積極的に賛成というよりは、捕鯨を批判・否定するという価値観の押し付けに対する反発という側面が強く(反・反捕鯨)、そのような干渉によりナショナリズムが喚起され、より強固に捕鯨にこだわるという結果になっている。
捕鯨推進派である日本国内にも、捕鯨反対派NGOが存在することや、捕鯨問題を扱う国際捕鯨委員会に捕鯨をしたことのない国家が参加していること、マスコミで広く報道されている構図と関わっている専門家の捉えている構図に少なからぬズレが見られることなども、問題の複雑さを物語っている。

・・・で、個人的な結論は簡単には言えないにしても、あくまでも個人的な要約としては以下の感じです。

捕鯨が全く必要ない国や、捕鯨を理解できない国々の反発は理解できる。
しかし、捕鯨が何らかの産業となっている国としては、そう単純に反対されても困ると言うのも理解できる。

捕鯨反対意見には「鯨知的斉物論」など、賛成意見には「鯨食害論」「鯨文化論」など、双方に様々な言い分があり、結局どちろも決定打を欠いている感じはするが、

少なくとも今の日本の中で、そこまで言われて鯨を捕る理由があるのかなとも思うし、価値観の押し付けに反発したい気持ちも多いにある。