2009年12月31日木曜日

日本辺境論 (新潮新書) (新書)

内容は(「BOOK」データベースより)

日本人とは辺境人である―「日本人とは何ものか」という大きな問いに、著者は正面から答える。

常にどこかに「世界の中心」を必要とする辺境の民、それが日本人なのだ、と。

日露戦争から太平洋戦争までは、辺境人が自らの特性を忘れた特異な時期だった。

丸山眞男、澤庵、武士道から水戸黄門、養老孟司、マンガまで、多様なテーマを自在に扱いつつ日本を論じる。読み出したら止らない、日本論の金字塔、ここに誕生。

簡単に要約すると、日本人は所詮、米国や、欧州、中国、ロシア、などの大陸人的な発想が出来る民族ではない!
それらの大国の陰で歴史的にも常に辺境にすむ民族として生きてきた。
そんな特異な民族の特性は、主導的で独創的なスタンスを発揮することは出来ない代わりに誰かの真似を完璧にこなすことが出来るという資質がある。

だから柄にもなく背伸びはせずに、辺境人らしく良いところを認識しよう!という内容です。

辺境性からくる欠点は確かに多いけど、日本が長い歴史を生き延びて、そこそこのポジションを占めていられるのも、辺境性を逆手にとるような優れた文化装置が編み出されたからということらしい。


日本人よ、開き直れ!というメッセージでした。


パジャマで観えるシネマコンプレックスが閉館!最後に「アバター」


パジャマで家を出て、殆ど誰にも見られずに観ることが出来る映画館だったのにここのところあまりにも人がいなさ過ぎるよな~と思っていたら、残念ながら閉館!
自宅のドアを出る⇒駐車場に行く⇒映画館ビルの地下駐車場に停める⇒エレベータで映画館階に上がる⇒自動発券機でチケットを受け取る⇒席に座る⇒観る!このパターンがなくなると思うと寂しくて、思わず「アバター」を観に行って来ました。
3Dじゃないけれど、感想から言うと、期待していなかっただけにかなり大満足。ジェームズ・キャメロン監督なのでヘボくはなりようがないとは思ったけど、この圧倒的な3D/CGの表現力は一体どういうことだろうと感心してしまう。
ここまでのリアリティーを持つ完成度が実現できるのであれば、これからの映画は新しいステージに移行していくんだろうなあと確認できる。
例えば、「アラビアのロレンス」や「ベンハー」や「十戒」・・・があの大スペクトラルを撮影する為にどれだけのコストをかけたのか?実写じゃないとあのリアリティを出せない為にCGに流れなかったのに・・・
地球人の主人公は戦争で負傷して下半身不随になった海兵隊員の設定なんだけど、そのこと自体はストーリー上あまり意味を持たないにもかかわらずその設定にしていることが、この映画の中にある種の色彩を添えているように思う。

2009年12月25日金曜日

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書) (新書)

先日出会ったCAD会社の社長さんがご自身のメールの署名に「"社長"の絵日記というブログを公開してます」と書いているのを見て、やっぱりブログ再開せなあかんな!・・・・・と。

ただ、あまり公にプライベートを語るのはやっぱり性に合わないので、以前のままで。



で、さっそく、以前少しだけ読んでいて、続きを先日読み終えた本です。第一回科学ジャーナリスト賞受賞とか、サントリーの何とか賞とかとっています。結構評価されている本です。


生命とは何か。 何が生物と無生物を分けるのか。 この本には、これらの問いに対して、分子生物学者としての著者の意見が書かれていますが、単に分子生物学的な観点だけではなく、著者の科学者としての回顧録的な内容を同時に盛り込んだ上に、文章表現も文学的に練り直しているところが、ブックカバーにもあるとおり「極上の科学ミステリー」になっています。

結果的にもっと科学的内容を突き詰めて読みたい読者には不評で、逆に僕のような素人読者にとっては本当に面白いと思えてしまうところが賛否の評価が分かれる理由だと思いました。


さて内容ですが、 大いなる時間の流れの中で、エントロピーの増大に抗うように秩序を形作ること、それこそが生物を生物たらしめ、そのダイナミズムの中に生命の息吹を見る。

これが、本書における著者の答えです。
人体を構成するすべての分子は流動的で、食事をしたそばから新たな分子と入れ替わっていっていて、数ヶ月間会っていない友人に再会した時、そのすべての分子は前に会ったときとは別のものへと置き換わっている。

つまり、分子生物学的には、彼は”別人”という事になるといった表現は素人読者にはタマらん!
事実は小説よりも美しい。 生命の縁に立ち、ミクロの世界で巻き起こる事実を目の当たりにすることは、感動以外の何物でもないと思うし、生きるとは何かを考え直すきっかけを作ってくれるような内容になっています。


この本を読んでいる時に同時に「NHK/BS」で「世紀の難問、リーマン関数に挑んだ数学者たち」という番組が放映されていました。

この番組の主題は、純粋に数学的な問題とされている素数の配置についても、宇宙の原理原則と密接に結びついたある種の法則に則っていて、その法則は生物の誕生や営みにも本質的に関係しているという内容でした。

これに関してもは別途違う本を読んでみたいなあと思っています。