2009年9月5日土曜日

社員のモチベーションは上げるな! (単行本)    宋 文洲 (著)

こういう逆説的な本が最近結構多いです。
内容については多くはコメントしませんが、以下のようなチャプターが面白かったです。

「モチベーションを連発する会社ほどダメになる=業績が悪い」

「楽しい職場は仕事への本質的なモチベーションを下げる」  

『怒るな、叱れ』は大間違い」

「部下をほめてはいけない」  

「わかっていない『商品企画部』が売れないものを量産する」  

「指示を出せない上司は、仕事ができない証拠」  

「ダメな上司ほど、サービス残業をさせる」  

「精神論で押し切る会社は、末期状態!」  

「面接で研修制度について質問する人は採用してはいけない!」  

「『能率』と『効率』は似て非なるもの!」  

「屈辱を味わうと、根性が身につく」  

「努力している“つもり”が一番タチが悪い」  

「悪平等が蔓延している」



簡単に言うと、社員が抱く「意欲」と客観的な結果である「業績」の関係について述べた本です。次の四点がポイントで様々な例証を挙げています。

第一に、日本企業の経営者や管理職は、社員の主観的な「意欲」を上げようと様々な試みをしているが、結果である「業績」と結び付いていないこと。

第二に、社員の側も会社にモチベーションを上げてほしいと期待している場合が多いが、それが結果である「業績」と結び付かないこと。
第三に、真の「意欲」は「渇き」や「飢え」、「屈辱感」などによっておのずと湧き上がってくるものであって、会社や管理職が左右できるものではないこと。

第四に、経営者や管理職が社員の主観的な「意欲」を重視すると、弊害がきわめて大きいこと。


例えば、面接で研修制度について質問する人というのは、恋愛の感情を抱いている相手方に向かって「あなた、どうやって私を愛してくれますか?
何をプレゼントしてくれますか?」と尋ねるようなものだから、雇ってはならない

とか、

ブティックなどで「とてもよくお似合いですよ」とお客をほめるのは商品を買ってほしい以上営業トークとして不可欠だが、
社員(部下)を日常的にほめるとほめられるのに慣れてしまってほめてくれないと仕事をしなくなるので毒になる、などの類です。


ほめてほめてやる気を出させよう的なムードの本が多かった今まですが、
普通に考えて、そんな甘いことを言っているのは日本だけなんだとハッとしました。