2008年11月8日土曜日

忘却の力 ― 創造の再発見 (みすず書房) 外山 滋比古 (著)

NHK/BSの本の紹介番組で大好評だったので読みました。
書評に書いてあることをそのまま紹介すると、

近代社会は知識信仰が根強い。知識は広ければ広いほどよく、多ければ多いほどよいときめてかかっている・・・・・・
実際、若いときはすばらしく創造的であった人が、知識がふえ、経験を積むにつれて力を失っていく例はいたましいほど多い・・・・・・
過ぎたるはなお及ばざるごとし(『論語』)は、知識においても妥当する。
肥満は運動によって解消するらしいが、知識メタボリック症候群において、運動に当るものは、忘却であろうが、忘れることは、散歩などに比べて格段に難しい。
現代の人間にとって、記憶以上に大切なものは忘却である。コンピューターにはまちがっても選択的忘却という芸当はできない。

結構、「目からうろこ」でした。最近はテレビを見てもクイズ番組全盛で、色んなことを知っていないと何だか自分自身が教養の無いダメ人間に思えてきたり、社会全般の様々な情報を頭に詰め込んでキャッチアップしていないと不安でどうしようもなかったり、以前は感じていなかった情報を詰め込むことに対しての脅迫観念が日増しに高まっていたような気がします。
でもこの本ではそんなわだかまりを一刀両断してくれます。情報や知識を詰め込むことは本当に大切なことではない・・・・感じる力、考える力こそが最も大切なことであり、創造の源なんだ!と。
知的肥満をおさえ、頭のはたらきをよくする50のヒント集です。