2008年8月20日水曜日

日経コンピュータの名物記事 「動かないコンピュータ」

今、日経コンピュータの中に毎号掲載されている「動かないコンピュータ」記事の総集編を読んでいます。それぞれの事例はそれぞれなりに興味深く読んでいるんですが、根底に流れる通奏低音のようなキーワードがあります。それは、困難や不満に直面したエンジニア達が、それから逃れる為に、様々な理由を見つけて何かに責任転嫁したり、現場から逃げてしまうと言うことです。システムをめぐる物語においては、そこで終わってしまったものが「動かないコンピュータ」ですね。しかし、困難に直面しながらも成功とは言えなくても完成するシステム開発の事例もたくさんあります。多分、その物語の中には必ず「逃げない人」がいたはずです。世の中には、「不満ばかり見つけて逃げてしまう人」と「自分の尊厳をかけて逃げない人」がいます。
J.F.ケネディの有名な演説にこんなのがありますよね。

And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you、ask what you can do for your country.
My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you,but what together we can do for the freedom of man.

「わが同胞のアメリカ人よ、国が自分に何をしてくれるのかを問うのではなく、自分が国のために何ができるかを問おうではないか。わが同胞の市民よ、アメリカが自分に何をしてくれるのかを問うのではなく、自分が人類の自由のために何ができるかを問うことにしよう。」
民主主義の原点が聞こえてくる素晴らしい演説です。このケネディさんは、やっぱり偉大なリーダーです。他にもこんな話しがあります。

ケネディが人類を月に送り込む「アポロ計画」を立案するあたって世界トップレベルの科学者を招いてその可能性について質問した。科学者達は口を揃えて無謀な計画に反対した。理由は次の二つ。

第一には現在の燃料では月から地球まで行って帰ってくるとその総量は膨大になり、それを積み込むための燃料タンクはロケット本体より遥かに大きくなってしまい、その自重では到底大気圏を脱出することができない。

第二には大気圏に再突入する時に発生する莫大な摩擦熱に耐えうる外壁素材が地球上には存在しないということだった。

科学者達が出した結論を静かに聞いたケネディはこう言った。「科学者のみなさん、われわれは月に行くことに決めたのです。もし地球上にそのような燃料や素材がなければ、それを創り出すように私はあなた方に依頼します。」

人づてに聞いた話なので真偽のほどは定かではないですが、この話し自体が素晴らしいという気はさらさらないです。ただ、私は難しい仕事に直面するといつもこの話を思い出します。困難なことに直面した時、できない理由などたくさん出ると思う。いくらでも作り出すことができると思う。そして困難なことに直面した人にとってそれは当たり前だとも思う。しかしそれでは月に行くことはできないのだ。多分、いつまでたっても少しの前進もできないと思う。
月に到達するには、後から後から溢れ出るできない理由をかなぐり捨て、ただ可能性の見地から現状と向き合う勇気と情熱が必要になるんだと思う。
地球から月を見ながらできない理由を数えるんじゃなくて、月から地球を見る「ビジョン」と共に実現する為の苦労の階段をつなぎ合せていく為の気の遠くなるような努力が必要になるんだと思う。「ビジョン」をただひたすら信じて実行する。
それを達成できた時、その人の世界が広がるし、それに向かって努力している姿そのものが人間の尊厳だと思う。
NHKの「プロジェクトX」に登場した人達もこういう種類の人間でしょう。
結果として成功を納めることが出来れば、なおさらHappyですが、その過程を貫ける品格と人格が人間としての価値を決めると言う価値観をもてる人でありたい。

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