2008年10月18日土曜日

ニューヨーカー短編集と短篇ベストコレクション現代の小説2008 (徳間文庫 )

2007年度に発表された日本人作家の短編の中から、日本文藝家協会が選んだベスト短編を21作品アンソロジー的にまとめたものです。
かなり有名な作家が多いのと、いろいろなテイストの小説が読めることが魅力のベストコレクションとあるだけにかなり期待をしましたが、かなりの失望でした。
多分このアンソロジーに偏りがあるからだとは思いますが、日本の作家の短編のレベルの低さにガッカリです。
「ニューヨーカー短編集」のような洒落た都会的なウイットを求めるのは厳しいのかもしれないですね。

有名どころで言うと、石田衣良、恩田陸、大沢在昌、山田詠美、桐生典子・・・石田衣良は、デビュー作の「池袋ウエストゲートパーク」はかなり読み応えがあったのに、その後の作品の「スローグッドバイ」「1ポンドの悲しみ」あたりになると、なぜか急に女々しい作風になって、「あ~、もうついていけない!」的な作家になってしまいました。
同様に恩田陸も、「夜のピクニック」はとてもいい作品だったので期待したんですが、これもまた才能を感じられないものでした。
もちろん、山田詠美も期待したんですが・・・。
・・・ということで、期待はずれのアンソロジーでした。

ニューヨーカー短編集

個人的には史上最強の短編集。
1925年に創刊された雑誌「ニューヨーカー」に掲載された短編小説を3巻に分けて収録したものです。収録されている作家は、その後のアメリカ文学史に欠くことのできない重要な作家のデビュー当時だったり、アメリカ文学を学んでいる人や好きな人しか知らないような作家だったり。
ある意味でアメリカ文学全体を俯瞰できる金字塔的な短編集といっても過言ではないと思う。
中でも白眉は、夏服を着た女たち/アーウィン・ショウ( Irwin Shaw)洗練された都会小説の名手です。