2008年9月22日月曜日

阿片王―満州の夜と霧 (新潮文庫 )


またまた日中近代史にからむ本を手にしてしまった。
個人的は、特に歴史物が好きなわけではないし、戦争物が好きなわけでもないし、近代中国史(日清戦争~日中戦争~第2次世界大戦あたり)が好きなわけでも、興味があるわけでも全くなかったけど、ここのところ何故か好奇心をそそるテーマが続々と発表されています。
その理由は、(あくまでも個人的な意見ですが・・・)この5年間で経済的にも文化的にも企業レベルでも中国との交流が圧倒的に深く熱くなった来たことに加えて、今まで日本国内でもタブー視されていた中国関連の歴史事実の隠蔽(または誤認)に関して、かなりオープンな情報公開が進んで議論が盛んになってきたことがあるように思います。
そんな背景もあって、中国に関連する様々な書籍に興味を持つ人が増えてきて、それに伴って書籍自体も売れるようになっている・・・ということなんだろうなあと思います。

それでこの「阿片王 - 満州の夜の霧」ですが、日露戦争後、日本が実質的に支配していた中国東北部を満州国として傀儡政権を樹立し、日中戦争を経て日本が太平洋戦争へと向かい、破れていくまでの歴史的な過程の中で、日本国政府が軍費そのものを捻出する為に、中国国内で阿片の流通を取り仕切り、何十万人という中国人を阿片中毒に落とし入れることによって殆どの戦費を獲得していたという疑うことの出来ない事実をノンフィクションとして描いています。
当時の軍隊、関係者、GHQまで含めたすべての人が 隠匿し抹消しようとしてきた「陰の歴史」です。こんな内容だと、少し前なら発禁にはならないまでも、反論と中傷の嵐になったと思いますし、何よりも書籍自体が売れないでしょうねえ。
主人公は里見甫という人物で、一般人でありながら軍関係者や政府関係者に操られ、「阿片王」として闇の中国に君臨した人物です。阿片取引を軸に、里見甫の他に甘粕正彦、東条英機、岸信介、笹川良一、児玉誉士夫など、満州にうごめいた人脈図を描き出しています。
ホント、この時代の日本を取り巻く世界の列強と中国の位置付けは、数年前までは殆ど知識のなかった僕にとっては驚きの連続でした。

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